IACUCCI(イアクッチ) コラムvol.01

はじめまして、IACUCCIクリエイティブディレクターの飯田です。
IACUCCIの世界初となるショップオープンに際して、2018年の春からブランディングに携わっています。

2020年5月の半ばまで新型コロナウィルスの影響で、IACUCCIの店舗はすべてクローズ。
そんな中、オンラインショップでは私たちが想像していた以上にたくさんの方々にご利用いただき驚きと同時に日々感謝の気持ちでいっぱいです。

ブランド自体は41年続いていますが、日本にオンリーショップができてまだ1年と少し。
ありがたいことに街中でIACUCCI JAPANの代名詞であるSORBETTOトートを目にすることも増えましたが、IACUCCIってどんなブランドですか?と尋ねられることも多く、改めてIACUCCIのストーリーをこの機会にお伝えできたらと思い、このコラムを書きました。

どうぞお付き合いください!

IACUCCIとの出会い

私が初めてIACUCCIのバッグコレクションを見たのは東京でした。
イタリアから送られてきた約30型のバッグを一点一点手に取って確認しながら、フォルムの美しさ、仕事の丁寧さや繊細な造りから漂う“品の良さ”を強く感じたことを覚えています。

IACUCCI(イアクッチ) コラムvol.01

実は、よく見るとIACUCCIのロゴが旧刻印です。(気づいた人はスゴイ!)
ブランドディレクションの一環としてブランドロゴも2019年より一新しました。

私自身、ちょうど年齢的にきちんとしたバッグを持ちたいという志向が強くなっていた頃でもあり、 私の中の“きちんとしたバッグ”を追求していくための必要な要素が詰まったブランドだと感じました。

IACUCCI(イアクッチ) コラムvol.01

日本へ初めて送られてきたサンプルバッグ。まだお店がオープンする前。

バッグブランドでの販売、国内外においての企画、バイイング、 そしてブランドディレクションまで携わってきた経験の中で、イタリアは最も足を運んだ国でもあり、私の愛すべき国。
そのイタリアの地で生産されていることもIACUCCIに惹かれた理由の一つでした。

イタリア製のバッグは、デザイン・素材・クオリティにおいて大変高いレベルを有しています。
ですが、経験上、日本で展開する場合、そのままを提案するのではなく、日本人の好みに合った味付けや、時には引き算といったひと手間が必要だと常々感じていました。

そんな私を含む日本女性のワガママに、IACUCCI本国のデザイナーがどれだけ興味と理解を示してくれるかがブランディングのキーだと考え、すぐにIACUCCIファミリーに会うため イタリアへ飛びました。

イタリア ミラノへ

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イタリアへ向かう機内からの光景と、到着時の夕焼け。青い空と赤く染まった空は今でもその時の気持ちを思い出させてくれます。

因みにIACUCCIは家族経営の会社で、ブランド名は創業者「Paolo IACUCCI・パオロ イアクッチ」とその妻「Nalu IACUCCI・ナル- イアクッチ」の名前に由来しています。

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左:Nalu IACUCCI 右:Paolo IACUCCI

初めてIACUCCIファミリーと会ったのは、ミラノでした。

お互い挨拶を交わした直後は少し緊張気味でしたが、商品についてのディスカッションが始まった途端に、一瞬でデザイナーのNaluとは打ち解けました。
会って何時間も経たないうちに、Naluから「あなたの考えが全て理解できるわ!とっても素敵な提案ね!」と、迷うどころか嬉しそうにこちらの別注を全て受け入れてくれました。

彼女はデザイナーとしてのプライドも持ちつつ、誰に向けて提案するバッグかをきちんと理解できるデザイナーでした。
そこには日本人女性へのリスペクトも感じられ、きっと彼女となら良いものづくりができる!
と、初めて会ったときに確信したのです。

IACUCCI(イアクッチ) コラムvol.01

IACUCCIの拠点アブルッツォから、ミラノまでフルコレクションを運んできてくれました。
その時の出張はハード過ぎて、ミーティングの合間に撮ったホテルのテラス写真しかありません・・

IACUCCIデザイナー Nalu
との出会い

私は、海外のデザイナーさんとお仕事をするときに決めていることがあります。
相手の感性をリスペクトした上で、必ず自分の考えや思い(=感性)をストレートに伝えること。

この、目に見えない“感性”というものをカタチにしていくには、お互いの思いや考えといった本質的な部分を理解し合えることがとにかく重要だと思っています。

理解をし合うことは、リスペクトをし合うこと。
そのために、まずは自分がどういう人間であるかを先に相手へ伝えるようにしています。
その方法で、ビジネスとしての付き合いが終わっても、家族のように私を迎えてくれるデザイナーの友人が世界中にできました。(特にイタリア人が多いですが・・)

早くもIACUCCIファミリーとは、そんな関係が会う度に深まっていっていることが、良い商品を生み出すベースになっていると実感しています。

「とても素敵なデザインだけど、日本人女性に提案するとしたら絶対こうした方が喜んでもらえると思うの!!」と、とりあえずダメ元でも商品をより魅力的にするための提案はお互いが納得するまでぶつけ合います。

より良くしたいという思いや感性は、国境や言葉の壁を容易に越えることができることを、これまで何度となく経験してきました。

それにはもちろん時間がかかることもあります。
それも覚悟の上で、私がぶつける難題を彼女は躊躇なく受け入れてくれたのです。初対面ながらそのやりとりを交わす中で、加速度的に理解し合いお互いの感性を瞬時に尊重し合えた結果、たくさんのコラボレーションを生み出すことができました。

IACUCCI(イアクッチ) コラムvol.01

IACUCCI JAPANの代名詞とも言えるSORBETTOキャンバストートの試作品。
写真は別注のLサイズ。

日本でのIACUCCI初コレクションは、デザイナーお気に入りのアイコンバッグや新シリーズに加え、私が日本のお客様のために企画した日本限定バッグも加わり、理想的なラインアップでお披露目することができました。

そして2019年3月、世界初のIACUCCIのオンリーショップが大丸東京店にオープンしました。

IACUCCI(イアクッチ) コラムvol.01

次回はそんな素晴らしいコレクションがつくられている、 IACUCCIの生誕の地イタリア/アブルッツォのショールームや町についてお話したいと思います。

IACUCCI(イアクッチ) コラムvol.01

IACUCCIのショールームとファクトリーからほど近い滞在ホテルの目の前のビーチ。
お天気の日はミーティング前に必ず散歩するお気に入りの場所。
誰もいない早朝の澄んだ海と空を独り占めできてしまう出張中の癒しの空間。